イマジネーションの海

家庭教師って良いバイトだと思う。何より上司がいないのが精神的に楽だ。お金を払っている親は顧客に当たるわけだが、家庭教師を「先生」として丁重に扱ってくれる。
指導中は子供と2人きりだから、かなり自由だ。
①ブログを書く…僕はいつもバイト中に書いてます。携帯から送信。
②本を読む…インテリジェンスを誇示するために難しそうな哲学書とか読んでみる。
③妄想にふける。
お、お前達、まさか僕らを祝福するためにわざわざこの南の島までやって来たのか?
既に日は暮れている。南国の夜は優しい。闇に紛れてざわめく波、木々、そしてお魚さん。その密やかな、無数の気配に包まれる。孤独じゃない。何もかも傍にある。プールの底に光が灯され、水中でゆっくりと乱反射する。テーブルのキャンドルの光が彼女の瞳で点滅する。彼女はダンサー達を見ている。僕は点滅を数えている。
ジョイトイ(C)が踊る。そして歌う。彼女は素直に感動する。僕はほんの少し嫉妬する。
吉田(D)が踊る。満面の笑みで。彼女は優しく微笑する。僕はまた少しだけ嫉妬する。
伊藤(C)が踊る。激しく。ピッコロバイエルンも踊る。僕は優越感に浸る。彼女は見て見ぬふりをする。

牧瀬(D)が踊る。バリトンバイエルンが吼える。彼女は見とれている。僕は打ちのめされる。
覚えてろよ、牧瀬!!こんどは靴に青汁だ。執拗に臭うぞ。「牧瀬くん、何か青汁臭い。最低!」ってみなみに言われろ!
本当にお前は最低だ!