禁煙しようと思う。体の諸機能が老化しつつあるのをひしひしと感じるからだ。
僕はもともと煙草を吸う本数が少ないので、あっさり禁煙に成功する気がする。しかし一方で、色々な人の体験談から、禁煙がそれほど甘いものではないということも分かっているので、確実に成功させるための完璧なプランをたてた上で実行に移すべきだと思う。
従来の方法じゃ確実ではない。それは歴史が証明している。
僕は考えた。煙草を吸う代わりに何か別の「もっと良いもの」を吸えば良いのではないだろうか?煙草よりも「良いもの」がより安く、より手軽に吸えるのならば、誰も煙草を吸うわけがない。
賢明な読者諸君には「良いもの」が何なのか、既に分かっている事だろう。その大前提の基に話を進めるとしよう。
この「良いもの」を吸うために以下の2つの条件をクリアしなければならない。
①吸わせてくれる人が近くにいること。
②プライベートな空間を確保すること。
①をクリアするのがまず厄介だ。その人は恋人であることが望ましいが、恋人がいたとしても、任意のタイミングで吸わせてくれるわけではない。しかし吸いたいと思った瞬間に吸えないようでは禁煙の助けにはならない。故に「これは禁煙のためなんだ、僕の健康のためなんだ、ひいては2人の幸せのためなんだ!」と言ってきかせ、納得してもらうしかない。
しかし現実的にはかなり難しいだろう。そもそも恋人がいなければどうしようもない。


②に関していえば、現在の日本では公衆の面前で「良いもの」を吸うことは法律で禁止されている。また吸わせてくれる人の羞恥心も、アウトドアでの「吸い」の障壁となる。従ってプライベートな空間で吸うことを余儀なくされるわけだが、やはり吸いたいときにすぐ吸えなければ禁煙に効果はないだろう。
以上2つの難題をクリアすれば誰でも禁煙が達成できると考えられる。その為に国家レベルで取り組んで欲しい。つまり、禁煙に挑戦している人には任意の人間の「良いもの」を、任意のタイミングで、任意の場所で吸っていいとの特権を付与するのだ。
つまり日本の全国民は男女問わず、禁煙者に「良いもの」を開放し、挙国一致で禁煙者をサポートするのだ。
禁煙に挑戦している人にはそれを証明するカードを一定期間交付するわけだが、交付には厳しい条件が課されねばならない。重度のニコチン中毒者であると診断されること、禁煙の意志が本物であることの2点である。軽い気持ちで手にして良いカードではないのだ。
しかし、当然このカードを手に入れるために人々はあらゆる手段を駆使するに違いない。交付許可を与える役人の買収と汚職暴力団が絡んだ偽造カード密売ルートの確立。更にはわざとニコチン中毒になってカードを手に入れようとする輩も出てくるだろう。
結果的に社会の混乱→人心の荒廃→核戦争の勃発→ 地球滅亡→萎え〜、である。
そうか。つまりは禁煙はしない方が良いというわけだ。