男子高校生

彼に勉強を教えるのは楽しい。その理由の1つは彼がとても賢く、飲み込みが速い事である。もう1つの理由は彼が底抜けに陽気な事である。
彼は恋愛に興味を持ち始めている時期である。高校生にとって、大人の男と1対1で話す機会はなかなかないのだろう。彼はその機会を最大限に生かそうとする。



「先生!!映画の後はラブホテルに行くものなんすか?」
「、、、、、行きたければ行くがいい。」
「え?間違ってるんすか、この法則?」
「、、、、、誰が、どの様にして、その法則を導き出したんだい?」
「サッカー部の先輩が、デートっていうのはそういうもんだって言うんです。」「、、、、、ああ、そうなんだ。ふ〜ん。」
「ああ、そうなんだ。ふ〜〜ん、、じゃないですよ、先生!!ひょっとしてバカにしてます?」
「まさかっ!!バカになどしていよう筈もない!!」「じゃあ、どうなんすか?映画の後はラブホテルなんすか?」
「、、、、与えられた条件次第ではその解が最適である場合もあるだろうね。」
「なんすか、それ?先生の場合はどうなんですか?先生は映画の後ラブホテルなんですか?」
「、、、、、そう願いたい。」




「先生!!カップルでディズニーランドに行ってイチャイチャすると、天罰が下るって知ってました?」
「、、、、、ああ、そうなんだ。へー。」
「ちょっと、きいてます?天罰っすよ。凄くないすか?」
「凄い。」
「ナメてるんすか?先生?」
「まさかっ!!ナメてなどいよう筈もない!!」

「じゃあ何でだと思います?」
「何が?」
「天罰が下る理由っすよ!」
「イチャイチャするからなんでしょ。」
「あー、もう!!そーじゃなくて!!」
「分かったよ。何でだよ?」
「俺らが天罰を下すからっす!!」
「は?」
「俺が、ダチと、2人でディズニーランドに行くじゃないっすか。」
「知らないけど。」
「行くんですよ!!で、カップルがイチャイチャしてると何か凄いムカつくんすよ。こっちは彼女いないのに。」
「分かる。でも男同士でディズニーランドに行く方が悪い。」
「いや、まあ、そうなんすけど。ディズニーっすよ!!ミッキーっすよ!!スティッチっすよ!!ああいう可愛いキャラクターが俺らが来るのを待ってるんすよ!!」
「待ってるんだ?」
「そうなんです!!待ってるんですよ!!」
「親切心から言うんだけど、彼らは君たちの事を待ってないよ。多分。」
「待ってるんすよっ!!」
「まあ、いいよ。じゃあ、待ってる。」
「で、カリブの海賊とかで、後ろの船のカップルがキスとかしてるんすよ。ムカつくんすよ。」
「ああ、まあ、そうだろうね。」
「まずはジロジロ見て、指さしてやるんっす!!」
「よせ。」
「よさないっす。で、次に写メとってやるんっす!!」
「よせよ。」
「よさないっす。で、ダチが『あ〜ん、気持ちいい〜』とか大声で叫びながら、船の横から手を出して、バチャバチャって水かけてやるんっす!!」
「死ねばいいのに。」